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組織改善のために活用できる「フレームワーク」について

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企業ではたくさんの従業員の方が働いており、出自も考え方も様々です。そんな中で、彼らが企業の目指す目標に向けて共通認識を持ち、組織を改善、課題改善をし、いきいきと能力を発揮できるようにするためにおすすめなのがフレームワークの活用です。

このページでは、人材育成を検討している法人や組織の方向けに、組織改善にフレームワークが役立つ理由や、参考になるフレームワークについてまとめています。

組織改善でフレームワークが役に立つ理由

まず、組織改善とは、組織内の人間が自らの組織をよくしていくこと、またはその支援を社員同士の関係性や組織の構造を対象として行うことで、組織の健全性や生産性の向上、外部環境への適応を目的としています。

しかしながら改善の対象である「社員同士の関係性」や「組織の構造」は把握、観測、評価が大変に難しい要素です。そのため、思考の枠組みであるフレームワークを活用すると、客観的な視点で考えるべき対象をおさえられ、社員同士でものごとを伝えあう際にも説明がしやすく、偏りや見落としが生じにくい組織改善が期待できるのです。

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組織改善の参考になるフレームワーク

ミッション・ビジョン・バリュー

企業理念や方針を形作る3要素が、「ミッション(組織の使命)」「ビジョン(組織が理想とする姿)」「バリュー(組織の価値観)」です。頭文字をとり、MVVと呼ばれることもあります。

これを策定することによって、「何を目標に」「誰のために」「どんなことをするのか」という指針が明確になります。部署や役職、年齢などが違っても、従業員全員で同じ方向を見ることが可能に。帰属意識も高められ、意思決定をする基盤にもなります。

さらに、顧客、採用対象者など社外へのプレゼンテーションに用いて企業の理念をアピールすることもできます。

7S

アメリカのコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱する、組織にとって重要である7つの経営資源とその相互性を示すフレームワークです。

7つはハード面の3要素(戦略、組織構造、システム)、スキル面の4要素(スキル、人材、スタイル、共通の価値観)に分類。活用することで自社の現状の把握や課題の明確化ができ、自社の強みを伸ばせます。新規事業展開を考える際に使いやすいフレームワークです。

AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

AIとも呼ばれ、「価値を見出す(Appreciative)」「探究・質問(Inquiry)」という意味を持つ、今後の可能性を広げるために、肯定的な質問を通じて組織や個人の価値を見出すフレームワークです。組織改善では、従業員が自分の強みや価値を知り、その可能性を広げていくことが大切です。AIは弱みや失敗などネガティブな要素を補い問題解決を図るアプローチではなく、ポジティブな面に注目するアプローチです。従業員のモチベーション向上につながります。

コーチング

従業員の内面的な変化や自主性、価値観を育てていくことを目的に、「従業員の中に既に解決策がある」というスタンスのもと、マネージャーなど管理する立場が繰り返しヒアリングや観察、提案を行うことで、部下や後輩が自らその解決策にたどり着けるように引き出していく手法です。

部活などの指導を思い浮かべやすい言葉ですが、部活などは監督や先輩からの一方通行の指導、ティーチングにあたります。ティーチングとは違い、コーチングは双方によるコミュニケーションが活発になることが多いのも特徴のひとつです。

OKR

組織の目標管理に役立つフレームワークで、組織全体、部署やチーム、個人で「目標(O:objectives)」「成果指標(KR:key results)」を設定し、それぞれの目標管理だけではなく進捗管理や評価を行えます。OKRを活用することによって、従業員個人と企業の目標をリンクさせることや課題を明確化することも可能です。

会社全体のOKRは経営目標や定量的な判断をするために有用であり、方針を決めていくのに役立ちます。部署やチームにおいては細かく進捗確認をすることで、方針とのズレに早期に気付いて修正可能。自分の成長を実感できるため、スキルアップ・キャリアアップにも繋がります。

ワールドカフェ

会議やミーティングは雰囲気が重くなりやすく、意見を言い出しづらいこともあります。若手の従業員などはその傾向が顕著です。ワールドカフェは対話手法のひとつで、カフェのようにゆったりとした環境の中で、自由なアイディアの創出、またイノベーションの促進を目的としたコミュニケーションを行うフレームワークで、うまく運べば先述したような若手の従業員から意見を聞いたり、違う視点を持つ他部署から思わぬ意見を得られることも。

少人数のテーブルごとで自由に会話をし、他のテーブルとメンバーを入れ替えて行えば参加者全員の意見を集められますし、大規模な人数でも実施できます。

フューチャーサーチ

フューチャーサーチは、マーヴィン・ワイスボード氏とサンドラ・ジャノフ氏によって提唱されたホールシステム・アプローチと呼ばれるミーティング手法です。難易度の高い課題に対し、テーマや課題に関連する、利害が異なる人々(従業員だけでなく、取引先の方や必要に応じて地域の方など)を一堂に集めて、立場などを超え、過去と現在の状況を共有し、お互いに意見を出し合ってより良い未来を模索していきます。最も重要なのは「参加者全員が合意できる共通の価値」を見出すことです。

外部からの意見も取り入れながら組織改善ができる方法といえます。

タックマンモデル

心理学者のブルース・W・タックマン氏によって提唱された、組織の成長段階を可視化することで、組織やチームが現在どの段階にいるのかを共有して理解し、それぞれのフェーズにあった対策をしていくことを目的としたフレームワークです。組織は「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」の順で成長するとした考え方で、今後の組織拡大に向けた戦略がとりやすくなるだけでなく、組織の成長を経験することで、チーム、また個人の能力や価値観を理解でき、自分の役割や立場も明確になります。

組織の成長過程におけるチーム内の衝突や混乱も、無理に避けることではなく経験として乗り越えるべきものであるという認識の共有が根底にあるため、一体感も生まれます。

自社内でフレームワーク

フレームワークには様々な方法があり、組織改善にとって有用です。しかしながら、実際の現場ではフレームワークで解決できない課題も多く発生しますし、設定したフレームワークが会社によってうまく合わないという場合や、そもそもそのような改善を行う余裕がない場合もあります。そんな時はフレームワークを活用するということにこだわり過ぎず、あくまでも思考法のひとつとして捉えましょう。そして、もし活用してみてうまくいかないのであれば、それが自社にほんとうに適したやり方なのかを今一度検討すると良いでしょう。また、コンサルティングを行う会社への相談を視野に入れるのもおすすめです。

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